遺言書が書けない場合

手が不自由で、遺言者が書けないような場合は、

遺言内容を公証人の前で話して、それを筆記してもらうことができます。

 

また、言語や視聴機能に障害のある人の場合は、

自書や手話によって意思を伝達すればよいことになっています。

 

遺言者の身体が自由にならない場合には、

自宅や病院まで公証人に出張してもらうこともできます。

 

ところが、病床の高齢者が書いた遺言書については、

遺言書を書く能力の問題で、争いの元になることがあります。

 

中には、「この遺言書は無理やり書かされたのではないか」、

などと疑いをかけられることもあるでしょう。

 

このようなことが予想される場合には、

遺言者の判断能力があることを立証する証拠を作っておくことです。

 

具体的には、医師の診断書や、遺言書作成時に遺言能力があることを

立証する当事者以外の第三者の証明書が証拠になります。

念の為、弁護士などの専門家に確認しましょう。

 

遺言書を作るには、遺言能力が必要になります。

遺言能力とは、有効に意思表示できる能力のことです。

遺言の有効性は、まず、遺言者に意思能力があったかどうかによって判断されます。

 

遺言で争いごとが起こることが予想され、遺言能力を立証することに自信がないときは、

自筆証書遺言はあきらめ、公証人に公正証書遺言の作成を依頼しましょう。

 

公正証書遺言の場合、証人が2人以上必要になります。

このとき、全国相続協会相続支援センター会員に、

承認を依頼すると遺言内容が外部に漏れずに安心です。

 

 

遺言書の署名の真偽

自筆証明遺言でも、公正証書遺言であっても度々問題になることが、

遺言書の署名の真偽です。

 

自筆証明遺言は、遺言者が全文自書し、最後に自分の名を自書するものです。

しかし、自筆証書遺言の大多数が、遺言者が亡くなったあとに相続人のうちの1人が、

「前から預かっていた、探してたら出てきた」、と提出してきて、

その中身の大部分のケースで、その相続人に有利な内容となっているため、

不利な内容で書かれた相続人が、「その字は、母または父のものではない」

と言って争いが始まるのです。

 

不利な内容を書かれた人にとっては一大事ですので、遺言書を疑うのも分かる話ではあります。

 

このような場合、まず筆跡鑑定に出すことになります。

しかし、これがなかなかいい加減なところがり、同じ、ある一つの自筆証明遺言書につき、

鑑定士によっては、直筆とすることもあれば、偽造とする人もいます。

 

その割合が9対1ぐらいであれば、あまり問題にはならないでしょうが、

実際のところ、半々ぐらいの割合になっているのです。

 

たしかに、他人の字をよく見て、字の太さ、傾き、途中の濃淡、

さらには筆記具の選択などを慎重に行なって何度も練習すれば、

その人の字にそっくりの字を書くことは可能でしょう。

しかし、いくら似せて書いても目に見えない筆圧や延び具合、

あるいは字一つ一つの潜在的な癖は個人によってまったく違うはずです。

 

現代の技術であれば、コンピューターをつかって、

そういった細かい点にまで調査することは可能なはずです。

筆跡鑑定がもっと確実なものとなれば、遺言書の署名の真偽のことで、

家族が醜い争いをすることも減ると思うのですが・・・

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