尊厳死とは、医学的に見て、病気や怪我が治る可能性がなく、
最期が近づいている上に、延命措置をしても命を引き伸ばすだけの状態になったとき、
延命措置を施さないようにしてもらう行為です。
あなたは将来、事故や病気で脳死状態になったら、
「どんな手立てを講じてもいいから、回復の可能性を上げるために延命してほしい」、
と思うでしょうか。
それとも、
「苦痛を緩和する以外は医学的な措置を施さず、自然な死を迎えたい」
と願うでしょうか。
本人がどのような考えであろうとも、何の準備もしていなければ、
実際にそのような状態になったときに希望をかなえるのは難しくなります。
本人はもう意思表示できませんし、家族は本人の意思は知っていても、
本当に延命措置を停止するかは迷うはずです。
たとえ家族が本人の意思を医療機関に伝えても、
医師が法的責任に問われることを恐れて消極的になる可能性もあります。
尊厳死を望むのであれば、その意思を客観的な形に残すため、
尊厳死宣言書を用意する必要があります。
尊厳死宣言書の書き方
日本の法律には尊厳死に関する規定がありません。
尊厳死を認めるか、認めないか、ということさえも決まっていません。
尊厳死自体が法律の枠外にあるわけですから、
尊厳死宣言書にも文例があるわけではありません。
しかし、一般的には、
①尊厳死を希望する意思表明
②尊厳死を望む理由
③家族の同意
④医療関係者に対する免責
⑤宣言の効力
といった項目について記載すべきとされています。
宣言の効力には、自分が心身ともに健全な時に作成したものであること、
自分がこの宣言を撤回しない限り、効力を持ち続けることを書きます。