身体が不自由になってきた場合、
たいていの人は同居している家族や、
近所に住む子どもなどに頼んで、
手続きを代行してもらうと思います。
しかし、金額が大きくなると口約束では不安になりますし、
金融機関の手続きをする場合は、原則本人でなければできないこともあります。
本人の同意があれば、委任状を書くことによって手続きができますが、
本人が寝たきりだったり、目や手が不自由な場合は、
委任状が作れないことも考えられます。
そこで、「これから、このような手続き全般については、
まとめて誰々に代行してもらいます。」
という内容の財産管理等の委任契約書の出番となるわけです。
判断能力のある内に、財産管理など将来の備えを万全にしておくと、
自分も周囲の人も安心して暮らすことができます。
財産管理等の委任契約書のメリット
・様々な契約や手続きを代行できる
銀行などの金融機関の口座から多額の現金を引き出す場合、
通常は本人確認が必要となります。
このような本人確認が必要な行為を本人以外の人が行なう場合、
本人が交付した委任状が必要となります。
しかし、財産管理委任契約をしていれば、いちいち個別の委任状をつくらなくても、
日常的な契約や事務手続きを代理人が行なうことができるようになります。
・本人の意思を客観的に証明できる
代理人が金融機関で「本人に頼まれてきました」と主張しても、
客観的にそれを証明する書類がなければ、手続きをすることはできません。
・財産を守れる
特に、子どもが複数人いる場合には、契約を結ぶメリットは大きいといえます。
信頼できる身内がいるのが理想ですが、
親の財産を勝手に使い込んでいる子どもがいるような場合は、
他の親族や第三者に財産管理を任せることで、
その子どもから財産を守ることができます。
これによって、受任者も気兼ねなく手助けをすることができます。
委任契約の注意点
「受任者に権限を与えすぎないこと」も大切なことです。
特に、財産管理を委任する場合には、
財産の処分までは権限に含めないようにしましょう。
財産の処分とは、預貯金の解約や、不動産の売却などのことです。
例えば、受任者が本人の定期預金を解約して、
そのお金をもっと効率的に増やそうと株式投資に手を出したりする行為は、
たとえ本人のためを思って行なった行為だとしても、本人が負うリスクが高くなります。
このような投機的な行為を受任者が行なえる権限は与えるべきではありません。