ご存知ですか?遺言書を作るにはこんな方法があります

遺言書には証人が2人必要なのをご存知でしょうか。

私はつい最近まで法律事務所に勤務しており、

多くの方の証人として公正証書の遺言作成に立ち合ってきました。

 

遺言書には大きく分けて、「普通方式遺言」と「特別方式遺言」があります。

「特別方式遺言」は特別な状況下、

例えば危篤時や船舶などの隔絶地で危険が迫った場合の遺言で、

それ以外は「普通方式遺言」になります。

よって、通常では「特別方式遺言」は滅多にあり得ません。

 

さて、もう一方の「普通方式遺言」ですが、

「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」

の3種類があります。

 

「自筆証書遺言」は、テレビなどでも遺言の場面としてしばしば登場しますが、

遺言者が自書し押印する遺言書です。

他の2つの「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」に関してのみ私のような証人が必要になりますが、

その大多数は「公正証書遺言」です。

 

公正証書という言葉を聞いたことがあると思いますが、

公正証書は公証役場に行き公証人に遺言書を作成してもらいます。

自筆証書や秘密証書は中身を遺言者のみが知っていることになるので、

不備があったり、法的に無効になったりする危険性がありますから、

「公正証書遺言」は一番確実で安心な遺言証書ということになりますね。

ですが、費用もそれなりに発生してしまいます。

それぞれメリット・デメリットがありますので、遺言書を作成する場合はよくご検討の上、

ご自身の希望に一番近いものを選ばれる事をお勧めします。

 

民法で定める証人になれない人は、簡単に言うと、未成年者及び相続に関し利害関係の無い者になります。

また、口の軽い知人に頼んだものなら、後で取返しのつかない事になりますから、

証人は慎重に選びたいものです。

費用を気にしなければ、法律の専門家に依頼するのも手っ取り早い方法だと思います。

特に相続すべき財産が多い方は、後々の紛争が起こらないよう、

遺言書を作成すべきか否か悩んでおられるのではないでしょうか。

 

 

私の経験談ですが、こんな事がありました。

遺言者は再婚でした。前妻との間に2人の子供がいました。

離婚以来、前妻は勿論子供達とも一切連絡を取っておらず、どこにいるのか消息すら不明でした。

現在の妻との間に子供はいません。

不幸にも遺言者が死亡した場合、相続人は妻と前妻との間にもうけた2人の子供ということになります。

 

遺言者は、「子供達には申し訳ないと思いますが、

長年自分に尽くしてきてくれた妻に全財産を残したいと思います」

と言い遺言書を作成しました。

遺言証書があると、例え子供達に相続権があっても遺言書の効力が発生します。

不動産を相続する際も余分な書類が不要になり、

この場合だと、子供達の印鑑が必要な遺産分割協議書の作成が不要になります。

このように様々な事情がある場合も、遺言証書は故人の遺志を繋いでくれます。

 

 

また、こんな話もありました。

遺言者には男女1名ずつ子供がいました。

しかし、長男がろくでもない子供で、ギャンブルで借金を作ってはご両親が始末してきたそうです。

何千万というお金を長男には渡しているので、もう十分過ぎる生前贈与をしているから、

財産は全て長女に相続させたいとの申し出でした。

長男とは、もう関わりたくないとまでおっしゃっていました。

相当のご苦労をされたようでした。

 

その時アドバイスしたのが、「お父さん、もしも息子さんが改心して真っ当になる日がきたら、

遺言書を書き直すこともできますからね。」

そんな日は来ないと言っていましたが、遺言書は何度でも書き直しがでます。

一番日付の新しいものが有効となります。

 

 

それから、遺言者の希望通り遺言が執行された場合でも、相続人は遺留分を請求することができます。

遺留分というのは、相続人が遺産の一定割合を保証されるもので、裁判所に請求権を行使することになります。

そうした場合、俗に言う骨肉の争いになりますね。

この遺留分の請求権にも消滅時効がありますので、注意しなければなりません。

 

遺言書を作るに当たっては、残された者たちが争うことがないよう慎重に内容を見据え、

相続人らが納得できる遺言書にしたいものですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL

CAPTCHA