特別方式遺言とは、
自筆証書や公正証書または
秘密証書による普通方式遺言とは異なる
特殊な状況下での遺言方式で、
これには4種類のものが民法で定められています。
まず1つ目には一般危急時遺言(976条)があり、
これは疾病やその他の事由で死亡の危急に迫った者が
証人3人以上の立会のもとでその証人の1人に対して
遺言の趣旨を口授することができるものです。
そして、口授を受けた証人は内容を筆記し、
遺言者本人と他の証人に読み聞かせて
それぞれ筆記が正確なことを承認した後に
各証人が署名押印すれば遺言が成立します。
これに対して2つ目に船舶遭難の場合に関しては
難船危急時遺言(979条)が設けられており、
船舶の中にあって死亡の危急に迫った者は
証人2人以上の立会を以て口頭で遺言をすることができます。
また3つ目には、伝染病のために
行政処分により交通を遮断された場所にある者について
伝染病隔離者遺言(977条)が認められており、
この場合では警察官1人と証人1人以上の
立会のもとで遺言書を作成できます。
更に4つ目には、船舶中にある者は在船者遺言(978条)により
船長または事務員1人及び証人2人以上の立会を以て
遺言書作成が可能です。
これら以上4つの特別方式遺言はやむを得ない
特別な事情に於いて認められる簡易の遺言方式であるため、
遺言者の真意の確保の観点から遺言者が普通方式によって
遺言をすることができるようになった時から
6か月間生存するときには効力がありません。