秘密証書遺言とは
普通方式遺言の種類の1つで、
自筆証書遺言や公正証書遺言とともに
民法967条に規定があり、
その方式については970条に定められています。
具体的な方法としては遺言書の秘密を保持するために厳格な手続を要し、
まず遺言者が遺言者または第三者の書いた遺言書に署名押印して、
次にこれを封じ証書に用いた印章で封印を行います。
そして、この封書を公証人1人と証人2人以上の前に提出して
自分の遺言書である旨を、或は遺言書が他人によって書かれている場合には
筆記者の氏名及び住所を申述します。
その後、公証人が封紙に証書を提出した日付と遺言者の申述を記載し、
遺言者と証人及び公証人が全員が揃って
封紙に署名押印することで遺言として成立するものです。
この遺言方式の特徴としては、他の自筆証書や
公正証書による遺言方式に比べて保管が確実で
秘密が保てる点が最大のメリットですが、
作成者が公正証書遺言のように
公証人が正確に筆記して承認するものでなく
遺言者や第三者であることから
内容に書き漏れや加筆及び訂正の不備があり得る点では
自筆証書遺言と同じリスクがあります。
もっとも、秘密証書遺言としては無効となる場合でも
自筆証書の方式を踏んで自署及び押印されている
遺言書が封入されていれば自筆証書遺言としての効力は発生します。
また、この秘密証書遺言には後日検認を要し、
遺言書を保管者または発見した相続人は
遺言者の死亡後遅滞なく家庭裁判所に提出する必要があります。