遺言書と遺書の一番の違いは、
遺書には法的効力がなく、
遺言書には法的効力があるという点です。
遺書というのは、死ぬ間際のメモ書きなどを指します。
そこに何を書いても、遺書は遺書で、家族へのメッセージにはなりますが、
法的な効力を得ることはできません。
それに対して、自分の死後に、配偶者や子どもが困らないように、
お金を残してやりたいだとか、世話になった人に財産を寄付したいなどと、
死後に自分の愛情を周りに伝える積極的なメッセージが遺言書なのです。
また、遺言書は死を間近にしたときに書くものではなく、
また病に伏しているときに書くものでもありません。
本来、遺言書は、老若男女を問わず、元気なうちに書くべきものです。
遺言書を書くという人は、自らの死のことをネガティブには考えていません。
家族が困らないよう、家族のことを思って遺言書を書いています。
現に、遺言書の作成を終えた人の顔というのは、
無事に役割を果たしたような、大きな責任を果たしたような安堵感を持っています。
自ら死を選ぶような人が、このようなイキイキとした表情ができるでしょうか。
遺言書は生きるために書くものであり、遺書は死ぬために書くものです。
その違いは本当に大きなものだといえます。