遺言書に対する誤解

最近、流行している言葉に、「終活」という言葉があります。

決して悲観的は意味ではなくて、自分の最期をよりよく迎えようという意味です。

遺言書の作成も、終活の一つだと言えます。

 

世間では、遺言書について誤解している人が少なくありません。

そのために遺言書を作ることをためらったり、

作ろうと思った時には「既に手遅れだった」ということになってしまうのです。

 

一番多い誤解が、

遺産は法律どおりに分ければいいのだから、遺言書は不要

という思い込みです。

 

たしかに法律上、相続人はそれぞれ相続できる取り分が決まっています。

しかし、これはあくまでも建前であって、実際は相続人同士で話し合いがつけば、

どのように財産を分けても自由なのです。

 

また、財産の全てが現金ではなく、不動産や未公開株など換金の難しいものもありますから、

単純に法定相続分で分けることは容易ではないのです。

 

不動産を売却してお金で分配できれば、まだ良い方で、

相続人のうち、一部の人がその不動産に住んでいる場合、

法律どおりに分配しようとすれば、住んでいる人を追い出す必要がでてきます。

これはたいへんな苦労です。

 

次に多いのが、財産を持っていない人は、遺言書は必要ないという誤解です。

これは、「亡くなるまでに財産を使い切るから遺産を残すつもりはない」と考えている人も同じことです。

自分が亡くなる時期に合わせて財産を使い切ることなど不可能なのですから。

 

特に、不動産を持っていて、金融資産がない場合が問題になりやすいです。

法定相続人は複数人になることが多いのですが、

不動産しか遺産が残っていなければ、遺産を簡単に分けることができません。

それでも法律に従って遺産分割するには、

思い出の詰まった家を売却しなければならないことになります。

もし、その家にまだ住んでいる人がいれば、これは大きな問題となります。

残された家族のためにも、遺言書を遺すことはとっても大切なことなのです。

 

それに、財産の額がいくらであろうと相続手続きが必要なことには変わりはありません。

これは、1億円の遺産でも、10万円の遺産でも、相続手続きは全く同じことなのです。

 

金融機関の口座数が多ければ多いほど手間もかかりますし、

また相続人の人数が多いほど手間がかかります。

相続話がまとまらなければ、いつまでたっても銀行からお金を引き下ろすことが

できなくなるという事態になるのです。

 

遺族も、亡くなった本人には遺産がほとんど無いとわかっている場合ですと、

家族が相続手続きを忘れてしまうことが多くあります。

 

相続手続きを、直ぐに進めなくても支障がないというケースはよくありますが、

直ちに相続手続きをしなかったために、財産の把握や相続分を持つ親戚との連絡がしにくくなり、

トラブルが複雑化することもあります。

 

もう一つ、遺言書を作ると相続税がかかると誤解している人もいます。

もちろん遺言書をつくった時点では税金はかかりません。

しかし、遺産の金額や分け方によっては、将来、相続税が発生する可能性はありますので、

心配な人は事前に税務署や税理士に確認するといいでしょう。

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