相続人が複数いる場合に、
それぞれの共同相続人の相続分を
どれだけにするかは、
まず遺言書があればそれに従い、
遺言書がない場合には法定相続分に従うのが原則です。
つまり相続財産は、もともと被相続人のものなのですから、
被相続人の最終の意思の表明である遺言で定めてあれば、
それにできるだけ従うことになります。
そして遺言書がない場合の基準として、
法が一応の基準を定めたものを、法定相続分といいます。
しかし遺言するからといって、
必ずしも法定相続分と異なる相続分の指定をする必要はありません。
遺言書で法定相続分どおりに分けることを指定してもいいですし、
法定相続分に従って、他人が相続する割合を指定しても構いません。
相続分について、遺言書による指定がある包括遺贈の場合でも、
共同相続人全員が合意すれば、遺言と異なる相続分を決めて、
それに従って相続財産を分割することもできます。
ちなみに包括遺贈の場合には、
法的相続と同じように遺産分割協議が必要になります。
これは民法990条の包括受遺者の権利義務と、
民法908条の遺産の分割法の指定等を根拠法令としています。
原則として、財産の本来の持ち主である被相続人の意思は尊重しますが、
財産を引き継ぐ側が全員で合意すれば、
最終的にはこの合意を優先することになるのです。
指定相続分も法定相続分も、相続人それぞれが、
ここまで権利を主張できるという枠を定めたものに過ぎず、
強制ではないのです。