遺言書の検認は、遺言執行の準備手続として行われます。
これについては民法1004条1項に規定があり、
遺言書の保管者または発見した相続人は、
遺言者の死亡後遅滞なくそれを家庭裁判所に提出して、
検認を受けなければならないとされています。
検認は、遺言の方式に関する一切の事実を調査し、
遺言書の状態を確認してその現状を明確にするものであって、
実体上の効果を判断するものではありません。
すなわち、形状、加除修正の状態、日付や署名などの形式を確認して
偽造や変造の防止を目的とするもので、遺言の真意性や有効性を審査するものではないのです。
もっとも、相続人や受遺者が遺言書を隠匿すれば、受遺能力を失います。
この点、公正証書遺言は、保管が確実であり、偽造や変造の危険がないことから、
検認の手続は免除されています。
加えて、家庭裁判所に提出して検査・認証を受けることにより、
遺言の存在を相続人や他の利害関係者に知らせるという目的もあります。
そして、封印のある遺言書については、家庭裁判所において、
相続人またはその代理人の立会いの下でなければこれを開封することができません。
封印とは、封筒に押印がしてあるもののことで、只単にのり付けしたものなどはこれに当たりません。
また、開封は検認の手続過程で行われるものですから、別段申立をする必要はありません。
ちなみに、これらの手続に違反したとしても、遺言の効力には影響しませんが、
5万円以下の過料に処せられます。