遺言書を書いてもらうというのは、法律のプロや信託銀行などのプロフェッショナルの人でも辛いのに、
ご家族が頼むのはとても辛いことです。
それはそう遠からぬ未来に亡くなるかもしれない、その悲しい未来に備えてのことですから。
しかし、家、土地、証券などを持っている場合は、歯を食いしばってでもかいてもらいましょう。
「大きな財産はない、貯金が少々あるくらいかな」という方でも、書いていただくのはとても重要なことです。
一見、遺言書というのは遺族のためでありそうですが、必ずしもそうという訳ではありません。
遺言書を書く人のためでもあります。
これを書かなかったがために、亡くなった後、
色々、長い間大切にして来た遺族の方々が悩むことになるのですから。
自分で書くことは難しいので、そのためには、プロに相談することもいいでしょう。
信託銀行、弁護士、行政書士、税理士など、
こういった諸手続きに関してのプロフェッショナルは少なからずいます。
自分が亡くなった後、どうなってほしいかというビジョンはうすらぼんやりあるものの、
それを現実に落とし込むという作業は、プロに頼んだ方が早いですし、
自分で考えた案よりきれいにまとまることは多いです。
それはもちろん、相談に伴う報酬は支払う必要がありますが、
特に財産の相続などに関していえば、プロに相談しておいた方が、望ましい形で引き継がれるので、
ここは必要経費と割り切って、支払った方がよろしいかと思います。
そして、この書類は「まだ早いのではないか」という段階で作っておいた方が断然よいです。
何故ならば、「まだ元気だから大丈夫」と言っても急病で落命する場合もありますし、
「本当に必要だな…」と思ったときには、予想外に認知症などが進行してしまい、
後見人についてもらって、さらにプロについてもらって将来設計をしたとしても、
「元気な時にこうしておきたかった」というプランがわからないため、
自分がもともと目指していた道とは違うところに進んでしまうことも少なからずあるからです。
こういった意思は、元気な状態でない限り、正確にわかる方はいらっしゃらないですから。
遺言書とは死を意識することですから、決して愉快な書き物ではありません。
どちらかというと辛い書き物でしょう。
ですが、自分の愛した家族や友人、組織に対して、
最後はどうしてほしいかを示す最後の手紙と思えば、悪くないと思います。
これも大事な終活の一つなのです。